岩崎良美

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赤岳 1泊2日縦走【後編】ご来光・横岳の岩稜・硫黄岳の爆裂火口|八ヶ岳の天空稜線

2025.07.26

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雨とガスに見舞われた前編を乗り越え、赤岳天望荘で迎えた2日目。試練の先に待っていたのは、想像を絶する絶景のご褒美でした。

この後編では、神々しいご来光から、鎖とハシゴが連続する横岳の岩稜帯、そして硫黄岳の大迫力の爆裂火口まで——八ヶ岳が本当の姿を見せてくれる「天空の稜線歩き」をお届けします。前編をまだ読んでいない方は、ぜひそちらからどうぞ。

コース概要(2日目)

赤岳天望荘のご来光——雲海と富士山

前日はガスで真っ白だった赤岳の山頂。けれど、山頂直下・標高2722mに建つ赤岳天望荘での一夜が明けると、目の前には一面の雲海が広がっていました。

朝日が雲海を黄金色に染め、遠くには富士山のシルエット。「1泊すると夕日も朝日も見られて、本当にいい山旅になる」と実感した瞬間でした。稜線が美しいと聞いて泊まりにした八ヶ岳。この景色だけで、来た甲斐がありました。

横岳の岩稜帯——鎖とハシゴ、そして「奥ノ院」

ご来光を堪能したら、ヘルメットを装着していよいよ2日目のスタート。地蔵の頭を経て、横岳へと続く険しくも美しい岩稜帯に入っていきます。まるで雲の上の道を歩いているようでした。

剃刀の歯のような岩場で頼りになるのは、1本の鎖。足元には吸い込まれそうな谷が広がります。手と足の3点をしっかり確保し、一歩ずつ慎重に。前日の赤岳でもそうでしたが、事前に岩場講習を受けていて本当に良かったと感じました。自分の手や足の置き場所が分かるだけで、怖さがぐっと減ります。

横岳には興味深い話があります。最高点は奥ノ院(2829m)なのですが、かつて地図では別の峰が最高点とされていました。多くの登山者が「奥ノ院のほうが高いのでは」と感じていた通り、後に測量技術によって奥ノ院が真の最高点と認められたそうです。長年の経験が最新技術で裏付けられた、ロマンのあるエピソードですね。

コマクサと、天空の稜線

岩稜帯を越えると、稜線沿いには高山植物の姿が。「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサの保護・育成エリアもありました。この時はまだ咲き始めで、満開はこれから。「いっぱい咲いた頃にまた見に来たいな」と、次の楽しみがまた一つ増えました。

天気はこの日もコロコロと変化します。真っ白なガスに包まれたかと思えば、ふっと青空が覗く。山小屋の方も「ずっと晴れも、ずっと曇りもあまりない」と話していた通り、稜線では晴れと防寒・雨対策の両方が欠かせないと痛感しました。

硫黄岳——大迫力の爆裂火口と「天空の広場」

横岳を越えて向かうのは硫黄岳。この山は、訪れる者に2つの顔を見せます。

一つは、巨大な爆裂火口。大地が裂け、剥き出しになった絶壁が見る者を圧倒します。かつての火山の力を今に伝える、荒々しい顔です。ところがその淵を越えた瞬間、世界は一変。どこまでも広がる穏やかな平原——「天空の広場」と呼ばれる、広く平らな山頂が待っています。

ただし、この穏やかな山頂は、霧に包まれれば道を見失う危険な場所にもなります。そんなときに頼りになるのが、先人たちが積んだ石の道しるべ「ケルン」。点々と続くケルンのおかげで、ガスの中でも進む方向が分かりました。絶望と希望が同居する、印象深い山です。

赤岳鉱泉へ下山——ラーメンと北沢の道

硫黄岳で晴れ間を待ち、絶景を目に焼きつけてから下山開始。赤岩の頭を経て、山小屋赤岳鉱泉へ。ここで温かいラーメンをいただき、疲れた体を癒やしました。

その後は、滝が流れる沢沿いの北沢ルートを下ります。水の音を聞きながら歩く道はとても気持ちよく、最後はまた小雨に降られましたが、「これだけ雨を経験すれば、次からは多少降っても大丈夫」と思えるほど。南沢・北沢の分岐を過ぎ、車道を45分ほど歩いて美濃戸口へ戻り、あっという間の1泊2日が終わりました。

まとめ:憧れの八ヶ岳、その本当の姿

ずっと憧れだった八ヶ岳。前編はガスと雨に泣かされましたが、後編では雲海のご来光、スリル満点の岩稜、そして硫黄岳のダイナミックな火口と、山が本当の姿を見せてくれました。「2泊、3泊と縦走したくなる気持ちが分かった」——それがこの山旅の正直な感想です。

岩場・鎖場・ハシゴが連続する★★★★☆の中級〜上級コースなので、ヘルメットなどの装備と、三点支持の技術は必須。できれば岩場講習を受けてから臨むと安心です。日本百名山・赤岳を含む南八ヶ岳の縦走、アルプスへのステップアップにもおすすめの一座です。

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