岩崎良美

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鋸山(千葉)日帰り登山ガイド|初心者でも安心な地獄覗き&断崖絶景コース【浜金谷駅から】

2025.05.25

千葉県の鋸山(のこぎりやま・標高約329m)は、電車でアクセスできて、ロープウェーも使えて、断崖の絶景と名物「地獄覗き」まで味わえる、初心者でも安心の日帰り登山スポットです。JR浜金谷駅を起点に周回しても所要は約3時間。「観光気分で行ったら意外としっかり登山だった」という、ちょうどいいギャップが魅力でした。

江戸時代から続いた採石跡の迫力、石を運んだ女性たちの歴史、そして日本寺の百尺観音と地獄覗き——1つの山で何度も「すごい」と声が出た一日を、コースの流れや装備の目安とともに正直にレポートします。

コース概要

浜金谷駅から車力道へ——女性たちが石を運んだ歴史の道

スタートはJR浜金谷駅。今回はコンクリートの道から「車力道(しゃりきみち)」に入って、ゆっくり登っていくルートを選びました。分岐を過ぎると路面が登山道らしくなり、いよいよ山の雰囲気に変わります。

この車力道は、かつて切り出した房州石を麓へ運び下ろした道。なんと「車力」と呼ばれた女性たちが、約80kgの石を3つ積んだ「猫車」を、ブレーキをかけながら急な坂を慎重に下ろしていたそうです。今でも石を滑らせて運んだ跡が残っていて、当時の過酷さと誇りが伝わってきました。観光地としてだけでなく、こうした産業の歴史を歩けるのが鋸山のおもしろいところです。

猫丁場・切り通し・吹き抜け洞窟——石切り場のスケールに圧倒

車力道の途中にあるのが「猫丁場(ねこちょうば)」。石を運んだ猫車にちなんだ名前で、当時の石工が遊び心で彫った小さな猫のモチーフが残っています。2021年にはハート型のくり抜きアートも加わっていて、重労働の現場なのにどこかほっこりする、人気の撮影スポットです。

さらに進むと、岩壁をまっすぐ切り開いた「切り通し」へ。良質な石を求めて掘り進め、石材の搬出路として作られた石の峡谷で、両側にそびえる壁面の迫力は圧巻でした。人が石を切った跡に、苔が生え、水がたまり、人工と自然が混ざり合っていく感じが本当に印象的です。

近くには天井が抜けて柔らかな光が差し込む「吹き抜け洞窟」もあります(※こちらは現在立ち入り禁止)。どこを見上げても巨大な石の壁で、「これを全部人の手で切り出したの?」と何度も足を止めてしまいました。

地球が丸く見える展望台と鋸山の山頂

産業遺産を横目に登りを続けると、「地球が丸く見える展望台」に到着します。観光のつもりで来ると最後の石段が意外と堪えるのですが、ここで一気に視界が開けて、休憩がてら景色を楽しめます。この日は富士山こそ見えなかったものの、地元の方に「ここの展望が一番いい」と教えてもらった通り、とても気持ちのいい場所でした。

そこからもうひと登りで鋸山の山頂(約329m)へ。三角点があり、夏に向かって緑が生き生きとしていて、達成感のある一座です。展望台からの絶景と山頂の静けさ、両方を味わえるのが嬉しいポイントでした。

ラピュタの壁と岩舞台——断崖の大迫力

山頂で折り返し、産業遺跡や採石跡を巡りながら下っていきます。地層に沿って奥へ奥へと掘り進めた跡や、崩落を防ぐために階段状に残された岩、職人が安全を祈って彫った小さな観音像——歩くほどに「ここで多くの人が働いていたんだ」と実感します。

なかでも見ごたえがあったのが「岩舞台」。江戸時代から石の町を支え、昭和60年まで採石が続いた最後の現場で、岩肌には「安全第一」の文字が刻まれ、当時の道具まで残っていました。そして金谷の海辺側から望む断崖が、最大垂直面96mを誇る「ラピュタの壁」。窓のように開いた横穴と、規則正しく刻まれた切り出しの跡が、まるで巨大な彫刻のようで、ただただ圧倒されました。

日本寺へ——百尺観音と「地獄覗き」のスリル

コース後半は、奈良時代に開かれたと伝わる古刹「日本寺(にほんじ)」のエリアへ。ここで会えるのが、岩壁に彫り込まれた高さ約30mの「百尺観音」です。慰霊と安全祈願のために約6年をかけて完成したそうで、切り立つ岩と一体になった穏やかな表情に、思わず手を合わせたくなる大迫力でした。

そして今回いちばんの目的が、断崖から突き出した展望スポット「地獄覗き(地獄のぞき)」。たどり着くには急な石段を登る必要があり、すれ違うのも大変なほど。正直「軽い登山のつもり」で来た身には少し気合いが要りましたが、覗き込んだ先のスリルと景色は、わざわざここまで来た甲斐がありました。さらに進めば日本寺の大仏も。歴史と絶景が一気に押し寄せてくる、鋸山のクライマックスです。

ロープウェーで下山、下山飯はコロッケとアジフライ

帰りはロープウェーを使って一気に下山しました。ここがまさに鋸山が初心者にやさしいポイントで、「登りは歩いて、下りは楽に」という選び方ができます。

下山後のお楽しみは、やっぱりグルメ。駅のすぐそばで売っている肉コロッケとメンチカツは、鋸山に登る人がおやつに買っていく名物だそう。揚げたての衣が、疲れた体に染みわたりました。さらに足をのばして港のお店で、念願のアジフライ定食も。この辺りはアジが獲れることで有名で、サクサクの揚げたては最高のご褒美でした。登山と観光とグルメ、全部まとめて楽しめるのが鋸山の贅沢なところです。

初心者でも安心な理由と、持っていきたい装備

鋸山が「初心者でも安心」と言える理由を整理すると、こんな感じです。

一方で、正直に言うと「完全な観光気分」だと少し痛い目を見ます。アップダウンや石段が多く、しっかり登山でもあるからです。私は軽い気持ちでストックを置いてきて「持ってくればよかった」と後悔しました。日本寺だけをロープウェーで観光するならスニーカーでも大丈夫ですが、車力道から歩いて登るなら、それなりの装備で行くのがおすすめです。

特にこれからの暑い季節は、汗対策が快適さを大きく左右します。私が普段の登山で頼りにしているのが、汗を素早く肌から離してくれるファイントラックのドライレイヤー。綿のシャツは汗を吸ったまま冷えてしまうので、暑い時期の山には正直あまり向きません。肌に直接着る一枚を変えるだけで、ベタつきと汗冷えがぐっと減ります。

日差し対策には、首までしっかり覆ってくれるカリマーのスダレハットが頼れる存在。岩場や展望台で照り返しが強い鋸山のような山では、これがあるだけで疲れ方が変わります。あわせて、断崖や海の照り返しから目を守ってくれるグダー(goodr)の偏光サングラスもおすすめ。軽くてズレにくく、動きの多い登山でもストレスがありません。

まとめ:1つの山でいろんな楽しみ方ができる

鋸山でいちばん感動したのは、やっぱり石切り場の圧倒的な迫力でした。アップダウンのある道は登山としてしっかり楽しめて、車力道や日本寺は観光地としても満喫できる。1つの山で、登山・歴史・絶景・グルメといろんな楽しみ方ができる、本当に欲張りな山だと思います。

電車で行けてロープウェーもあるので、登山初心者の方や「いきなり本格的な山はちょっと…」という方の一歩目にもぴったり。ただし観光気分すぎると石段に苦戦するので、汗対策と日差し対策だけは忘れずに。週末の日帰りで、ぜひ地獄覗きのスリルと断崖絶景を味わってみてください。

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